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カビの防止術!

kabi.jpg毎年衣替えの時期に悩むのが、クリーニングに出すタイミング。
温かい日が続いて「もう平気かな」と思ってクリーニングに出すと、数日後また真冬の寒さに戻ったり...。
そんなはっきりしない季節の中「クリーニングに出したけど寒いからまた着よう」というように、クリーニングした衣服で再び数日間着用し、再びクリーニングすることなくクローゼットなどに保管していませんか?
衣服は1度でも着用すれば必ず汚れが付着しています。そして、その汚れが原因で次に着ようと思った時にはカビが発生していたりなど...。
このページでは、衣類のカビについて紹介します。

カビはどのように生えているの?

皆さんは、パンのカビは見たことはあるでしょうか?
パンのカビは目視ですぐに見えます。しかし、空気中やハウスダストのカビはいっぱいいるのに見えません。また、衣類のカビは保管中や長期間使用し続けて生じる場合が多い為、気付き難いようです。
いずれにせよ、人はおおむね目視でカビの存在を判断します。

下のイラストはカビが生えて行く様子をイラストと写真を用いて表したものです。
ポイントは、カビは放っておくと植物のように芽を出し根っこをはるところにあります。また、根をはった頃に、目で見て確認出来たり臭いも放ち、気付くことが出来るという点です。

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イラストでは衣類の生地(繊維)にカビが生えてる様子を表してますが、カビの凄いところは硬いプラスチック素材だろうが液体の水だろうが、何にでも同じように繁殖するところにあります。

カビはなぜ生えるの?

カビは微生物の一種で様々な種類が存在します。そしてカビの胞子は空気中のいたるところに存在し、「栄養源」・「温度」・「水分」・「酸素」4大育成条件が揃えばどこでも増殖します。

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よって、カビを防ぐにはこの育成条件を与えなければ良いのですが、実際のところ全ての条件を取り除いて衣類を保管することは不可能と言われています!

では、私たちはどうやってカビから衣服を守れば良いのでしょうか?
ポイントは"条件を取り除く"のではなく"条件を与えない"ことです。そこで、カビから衣服を守る方法として次から紹介する2つの視点を持つことが大きなポイントです。

POINT1:栄養となる汚れを確実に落としてから収納する

まずカビにとっての栄養源とは一体何でしょうか。人からの分泌物では「垢(あか)」「フケ」「皮脂」などが栄養源になります。また、タンパク質、炭水化物、アミノ酸、脂肪など、またとくに糖分を栄養源として好みます。
つまり、汚れはほぼ全てカビの栄養源であると認識して下さい。そしてこれらが付着している繊維、皮革、プラスチックなどがターゲットにされてしまいます。
よって、衣服であればこれら栄養源を与えない状況を作れば良いので、クリーニングによって完全に栄養源であるシミや汚れを落とすことが必要と言えます。
食べこぼしなど「ほんの少しだったら平気でしょ...」という考えは、カビには通用しないことを理解しておきましょう!

ポイント!

衣服の汚れは一度でも着れば必ず付着してます。特に注意したいのが、冬のコートやジャケットなど。これらは肌に直接触れないことなどから、軽視しがちですが、外からの汚れが必ず付いています。
この外からの汚れもカビのターゲットになるケースもあるので、一度でも袖を通したらクリーニングにお願いして、完全に汚れを落とした状態にすることが大切なのです。

POINT2:日頃のメンテナンス

「栄養分」を与えない方法としてクリーニングが挙げられますが、残りの「温度」「水分」「酸素」は人が通常の環境で暮らしている限り避けることが出来ません。そこで、全ての要素をゼロにするという考え方ではなく、影響を受けにくい環境作りを自らコントロールする、という視点に立つことで、カビの発生を防止することができます。

カビ防止のメンテナンス術!


  • 日頃から衣類の保管場所の通気性を確保しておく。
  • 押し入れなどには、すのこを敷く。
  • 梅雨時はクローゼットに除湿機を入れるなどで湿度を下げるようにする。
  • 戸建の住宅では、1階より2階で保管し、できれば南側に面した部屋に保管する。
  • クリーニングから返ってきたら袋は外す。袋をしたままだと湿度が上昇します。
  • タンスなどには衣類を入れ過ぎないよう余裕を与えるようにする。
  • 定期的に陰干しして湿気を抜くようにする。
温度と湿度の管理~カビが発生する温度と湿度って?~

一般的にカビが発生しやすい温度と湿度は次の通り。
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特に結露などを起こして湿気がたまりやすく通気の悪い場所に発生し、2階以上の部屋より、1階の部屋は必ずと言ってよいほどカビが発生しやすいので注意が必要です。

カビが生えやすい衣類は?

革製衣料

カビ事例
革製衣料の場合は、かなり乾燥気味であってもカビが生えます。革製衣料に生えるのは、カワキコウジカビといって、白い糸状の菌糸を表面に這わせながら広がります。それもかなりしつこく革の中に食い込むため、早めの処理が大切になるので、注意が必要です。

和服

絹の和服は、黄ばんできたり褐色調になったりすることがあります。長期間着用せず保管しておくとわずかに残った汗などの成分を栄養にして時間をかけながら生えてくる場合があるので注意が必要です。
カビ事例

礼服

カビ事例
着用する機会の少ない礼服もちょっとしたことでカビが生えます。

子供服
食べこぼしやヨダレが残るとそれを栄養としてカビが生えることがあります。
柔道着
柔道着のように生地が厚手のものは、乾燥しにくいため繊維の間に汗などが浸み込んでいるとどうしてもカビが生えます。
レインコート
レインコートの首周りに黒っぽいカビが生えてくることがあります。身体のアカを栄養として生えてきます。
タオル類
身体からの汗や皮脂などが残ったままで湿った状態が続くタオル類は、どうしても着色してきます。たいては、ピンク色になりますが、そのほとんどは身体にいる赤色酵母が原因になっています。

悪性になったカビはプロでも取り除くのが困難に

万が一カビが発生した状態で長期間経過した衣服は、どんな状態になっているのでしょうか。
カビは植物のように根をはり繊維を分解し、生地を傷めている状態なのです。

よって、状態によってはクリーニング洗浄で汚れを落とす次元の話ではなく、漂白剤を用いて科学的に色を分解(脱色)させなければ除去出来ないケースもあります。しかも、衣服のデザインや素材によっては漂白剤を十分に作用させることが出来ない場合もある為、そのような場合は気兼ねなく着用できる状態に復元させるのは困難を極めます。
病気の癌(ガン)と同様、放っておくと取り返しのつかないことになるのです。

つまり、衣類のカビにも病気と同様、早期発見予防が必要と言えます。ただ、カビの早期発見は、目視で確認出来る頃には症状が進んでいる状態がほとんどなので、予防に努めるようにしてください。

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