繊維製品の中には、靴下や手編みのセーターのように糸から直接製品を作ることもありますが、ほとんどは1枚または複数枚の生地を針と糸でかがったり、縫い合わせて衣服を作ります。
しかし中には、生地を接着剤で張り合わせた商品も、市場に多く出回っています。
まずはこのページでは、基本的な衣服の縫製工程について紹介します。
縫製までのしたごしらえ 型紙と裁断
平面上の生地から衣服に縫製するためには、まず衣服の各パーツに分けた「型紙」を作り、それをもとに生地を「裁断」しなければなりません。
「型紙」の作成法は、まず、袖や身頃などの採寸を行い、その寸法をもとに形状などを記入した図面を作成し、ハサミなどでパーツごとに切り出します。また、生地を人体の模型(人台)に掛けて、造形しながら裁断していく方法もあります。
もしかしたら、小中学生の頃に、家庭科の授業などで経験したことはありませんか?
主流となったアパレルCAD ~コンピューターによる製図と裁断~
最近の既製服の生産過程では、アパレルCADと呼ばれるコンピューターを利用した「型紙」の製図から「裁断」までが行われています。アパレルCADは、コストをかけずに行えることや、短時間で行えるなどのメリットにより、生産現場では非常に広く普及している方法です。
縫製工程の流れ
図は、一般的な縫製の準備工程から製品の包装までの全体の流れを表しています。
検反
検反作業では、生地の織組織、傷、色ムラのチェックが行われます。また、実際の接着プレス機を使った生地と芯地の適合試験やプレス収縮試験が行われます。■ポイント!
生地や芯地の検査は、それらを出荷したメーカーの側で検査が行われていますが、工場に納品される沢山の生地の中には、輸送などからの不可抗力により不具合が生じている可能性がある為、縫製工場においても行わなければなりません。
延反
縫製工場に投入される生地は、ほとんどが巻かれた状態(原反)でやってきます。そこで、きつくロール状に巻かれた生地に対して蒸気をかけたり振動を与えたりしながら台の上に広げて、一定の長さに必要枚数積み重ねます。型入れ
延反された生地に裁断するための目印となる線を、製図通りに記入していきます。
この作業は、今ではほとんどがコンピューターによって行われます。また、「型入れ」と同時に「裁断」を行う機械も普及しています。
裁断
生地から目印の線に沿って、パーツを切り抜きます。人間が刃物のついた機械で切り抜くほか、最近ではレーザーや強力な水噴射により切り抜く機械も登場しています。
縫製
各パーツに裁断された生地を、人間がミシンで縫い合わせます。ポケットや襟(えり)、ボタンなどもこの段階で縫いつけられます。
仕上げ
プレス機やアイロンを用いて、縫製時のシワなどを綺麗に整えます。
検品包装
出荷前の最終検査の為、入念なチェックが行われます。汚れや破損している部分は無いか?寸法と製品は合っているか?など検査された後、ラベルがつけられて箱や袋やハンガーなどに梱包され出荷されます。
参考文献:繊維がわかる本 (日本実業出版社)