紺や黒などのウール素材による学生服やスーツ、またコートなどで、肘やポケット付近、臀部(でんぶ)や腰ポケット付近などが気付いたら光って見えるようになっていたなんて経験はありませんか?
このページでは、テカリやアタリについて紹介します。
テカリ・アタリって?
テカリやアタリとは、生地がつぶれてツルツルになり、光(太陽光や蛍光灯など)が反射してしてしまう(光ってしまう)現象です。
また、テカリとアタリは、結果は同じであっても発生原因により、言葉の使われ方が分けられます。
テカリ
衣類を複数回着用すると身体の動きにより常に特定部分へ圧力、摩擦、張力、屈曲(折れ曲がる)などの負荷がかかります。つまり、着用により生地がつぶれる避けられない現象によるものを言います。
アタリ
アイロンやプレス機の圧力で生地の表面の毛が寝たりつぶされるというような、仕上げに問題がある現象によるものを言います。
発生のメカニズムを知ろう
テカリやアタリのメカニズムは、塗料やプリント写真に例えられます。塗料とプリント写真は、その種類に「光沢」と「つや消し」という2つの種類が存在します。では「光沢」と「つや消し」の違いの仕組みはどのようになっているかご存知ですか?
「光沢」は表面がツルツルになっており、光が鏡のように反射します。一方「つや消し」はプリント写真では特に一目瞭然ですが、凸凹が存在します。この違いを更にイラストで説明すると以下のようになります。
「光沢」は、光が鏡のように特定方向(ストレート)に反射することにより、目で見て光を確認出来ます。
これにより、ツルツルしている質感(つや)を認知します。
「つや消し」は、光がデコボコによって散らばって反射してしまうため、目で見て光を確認出来ません。
これにより、マット(つやの無い)な質感を認知します。
素材 | 光沢 | つや消し |
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塗料 | 通常の液体のみのもの | 液体の中に大きな顔料を含まして、塗料面がデコボコになるようにしている。 |
プリント写真 | 表面がツルツルのもの | 表面にデコボコの加工をしている。 |
つまり、テカリ・アタリとメカニズムは同じ!!
では、話をテカリとアタリに戻します。
テカリやアタリが発生するのは、生地がつぶれると説明しましたが、より具体的に言えば・・・
・生地の表面のふくらみや凸凹状態がつぶれて、たいらでなめらかになった。
・繊維自体が摩擦によって擦り減ってしまい、たいらでなめらかになった。
といった状態です。
そこで、正常な衣服の状態とテカリ・アタリが発生している状態をイラスト化すると以下のようになります。
更に、ウール生地の状態を顕微鏡写真で見ると以下のような状態を確認できます。
ウールの表面にあるデコボコが正常に存在する。 | ウールの表面にあるデコボコがすり減ってツルツルになっている。 |
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テカリ・アタリの防止対策
着用によるテカリの発生は、主に着用摩擦などの外力によるものであり、衣類を着用する以上避けることは出来ません。したがって基本的考え方としては、「テカリの発生を遅らせる」ことがポイントと言え、出来る限り毎日連続して着用しないことやお手入れを欠かさないなど、大切に着用することが必要と言えます。
テカリを目立たせない方法
テカリは摩擦により繊維がすり減るなどし生地がつぶれてしまうことが要因であることから、着用する限り避けられないことはご理解頂けたと思われますが、光沢を目立たせない方法はあります。それは、毛羽のある衣服でも、グレー、ライトブルー、淡色、白色の製品はテカリが目立たないことが判明しています。つまり、着用する衣服の色を、黒や紺などの濃色製品ではなく、白っぽい製品であれば比較的目立ちにくいとされています。しかし、生地がつぶれてしまうことには変わりがない為、外観状態は悪くなります。また、毛製品であればこまめにブラッシングをし、毛羽を起こすことにより「テカリ」の初期状態にあるデコボコがすり減っている位置を変え、光沢の感知を軽減させることで目立たせなく出来ます。
アタリを発生させない方法
アタリは、アイロンやプレス機による作用が原因であり、仕上げの技術や設備に根本的な原因がある考えられます。仕上げの理論や素材の知識の無いまま、やみくもに自宅でアイロンをかけてしまうことで、アタリを発生させてしまうことや、クリーニング店に頼んでもお店によって知識不足や設備不良が原因でアタリを発生させてしまうことも考えられます。
よって、防止策としては技術が高く信頼出来るクリーニング店にお願いすることがお薦めです。